先日12月11日〜13日に東京ポートシティーで開催された「XRKaigi 2024」に参加してきました。
XR (Extended Reality) は製造業、建築、不動産、エンターテインメントを含む幅広い分野で影響力を拡大し続けています。
本イベントでは、最前線の技術と業界動向が発表され、今後の可能性を探る重要なインサイトが得られました。
この記事(前編)では、注目のセッションや技術トレンドを深掘りし、業界の方向性を解説します。
こんにちは。XR技術に20年以上携わるエンジニアの山下です。
セミナーやブログを通じて最新技術の情報を発信し、ビジネスモデル構築にも取り組む日々を送っています。未来を切り拓くための技術やアイデアを共有していきますので、どうぞお楽しみに。
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XRKaigiは国内外のXR関連技術者や企業が集う最大級のイベントです。
「共有し、繋がり、高め合う」がテーマであり、2024年は特にImmersive (没入型体験) と Spatial Computing (空間コンピューティング) が主軸に据えられ、新技術の発表や活用方法の議論が行われました。
ちなみにXRとは?
XRは、以下を総称する技術です。
VR (仮想現実): 仮想空間への完全な没入体験。
AR (拡張現実): 現実空間にデジタル情報を重ねる技術。
MR (複合現実): 現実と仮想の境界を融合する技術。
例えば、VRヘッドセットを使って仮想空間に入り込んだり、スマートフォンを通じて現実世界にデジタル情報を表示させたりすることができます。
本イベントでは、最新のハードウェアやソフトウェアの展示、専門家による講演、ワークショップが行われ、年々参加者数も増加しています。今年は12月11日〜13日の3日間で開催され、私も11日と12日に参加しました。
元バンダイのトップクリエイター「こや所長」によるセッションがオープニングを飾りました。
セッション概要はゲーム開発における苦労話や工程の話が中心で、特にゲームセンター向け製品開発におけるユニークな取り組みが紹介されました。
BtoCモデルの洞察とBtoBへの応用として、ゲームは基本的にBtoCモデルですが、そこにおけるプラットフォームやサービスモデルがBtoBへも応用可能であることが示唆されました。
子供の「わがままニーズ」とCAS分析として、子供をターゲットにした場合、以下のポイントが強調されました。
・子供の「わがままニーズ」を理解することが鍵。
・ニーズを紐解く手法としてCAS分析が有効。
「わがままニーズ」とは?
主にユーザーや顧客が抱く「個別の要望」や「表面的には見えない真の欲求」を指します。
この概念は、ユーザー体験(UX)やマーケティングの分野で特に重要であり、単なる基本的なニーズを超えた細部への対応が顧客満足度を大きく向上させます。
つまり、顧客の潜在的な要求を引き出す戦略です。
そのわがままニーズに対応するためのアプローチとしてCAS分析を行うというものでした。
では、CAS分析とは?
顧客の行動を深掘りして、その背景にある「動機」や「ニーズ」を分析する手法です。
具体的には、顧客がなぜその行動を取ったのかを探り、ビジネスや製品改善に活用することを目的としています。
キーワードは「わがままニーズ」で、それを紐解いていく過程がCAS分析という内容でした。
また、「わがままニーズ」を深掘りしていくうえで、「行動の裏にニーズがある」というキーワードがありました。
この「行動の裏」が「ニーズ」「課題」であり、私たちの習慣にあるという事でした。
新しいビジネスモデルを考えるときは是非参考にしてほしい内容でしたね。
XR Future Pitchとは?
XR Future Pitchは、XR/メタバース分野のスタートアップがビジネスアイデアを発表するピッチイベントです。
審査員としてVCや専門家が参加し、オーディエンス投票も行われました。以下の2社が特に印象的でした。
Ampliumは、Apple Vision Proを活用したイマーシブビデオの配信プラットフォームです。
まずはAmplium, IncのApple Vision Pro向けイマーシブビデオプラットフォーム「Amplium」についてです。
Apple Vision Proは、言わずと知れたAppleが開発した先進的なヘッドセットで、デジタルコンテンツを現実空間にシームレスに融合させることが出来ます。
ハンドトラッキングもできる為、映画やゲーム、仕事等を新しい方法で体験できるといったものです。
イマーシブビデオとは、視聴者がまるでその場にいるかのような臨場感を味わえるビデオのことです。
Apple Vision Proでは、特にこのイマーシブビデオの体験が強化されています。
・高解像度: Apple Vision Proは、片目あたり4Kテレビを超えるピクセル数を持っており、非常に鮮明な映像を提供します。
・広い視野角:180度の視野角を持つため、視界全体に映像が広がり、まるでその場にいるかのような感覚を味わえます。
・空間オーディオ:音が立体的に聞こえるため、映像と音が一体となって臨場感をさらに高めます
・3Dビデオ:3Dビデオの撮影と再生が可能で、深みのある映像体験を提供します。
※こちらはイマーシブビデオのメイキング映像になります
ただ、課題もありますね。
まずは、イマーシブビデオの容量の問題。
2分程度の動画でも5GBの容量が必要だという事ですから、それをストリーミング配信するうえでの遅延だったりサーバー容量ですね。
ビデオの圧縮だったり、いろいろと課題がありそうです。
次にApple Vision Proのデバイス普及です。
1台60万円ほどするので、かなりVRヘッドセットの中でも高額といえるでしょう。
肝心なプラットフォームが出来てもそれを視聴できるユーザーがいなければ、広がりませんね。
第2世代Apple Vision Proは2025年秋から2026年春に登場すると噂されているので、そこに合わせてサービスをローンチするために開発中だとか?
今後注目ですね。
次に株式会社CHAOSRUの「3D CANVA」です。
CANVAは誰でも簡単にデザインを作成できるオンラインツールで、豊富なテンプレートと直感的な操作が可能で、ドラッグ&ドロップで簡単にデザインを作成できます。
この2Dデザイン置けるオンラインツールのXR版、つまり3D/XR版CANVAです。
3Dモデリングは誰でも出来るものでもなく、ハードルが高い作業になります。
その複雑な工程をアセットやテンプレートでCANVAみたいにテンプレート化し、直感的にだれでも3Dモデリングが出来るサービスという事になります。
作成したデータはゲーム、メタバースなどのXR(VR/AR)システムの用途だけでなく、広告や動画などの幅広い分野で活用できるコンテンツを作成できる点は魅力的だと感じました。
そして何より、誰でも直感的な操作で作成できるのはモデリングのハードルを下げれるというのはクリエイティブな領域では革新的なツールになるでしょうね。
2025年にα版、β版リリースに向けて絶賛開発中とのことです。
XRKaigi 2024は、XRが業界を超えて社会基盤へと進化しつつある現状を強く印象づける内容でした。
AIとの融合や新たなUX(ユーザー体験)の可能性が次の主戦場となるでしょう。
次回の記事では、XR技術がもたらす具体的な経済効果と、今後注目すべき企業・プロジェクトを取り上げます。
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